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【文字の話】 欧文フォントの種類をどこよりも分かりやすく解説!

1年生

欧文フォントは、セリフ書体、サンセリフ書体、スクリプト書体、デコラティブ書体(ディスプレイ書体)の4つの大枠に分けることが出来ます。今回は一つひとつ分かりやすく解説していきます!

欧文フォントの種類

欧文フォントは、下記の4つの大枠に分けることが出来ます。

◯ セリフ書体

◯ サンセリフ書体

◯ スクリプト書体

◯ デコラティブ(ディスプレイ)書体

セリフ書体とは

セリフ書体(Serif typeface)とは、欧文フォントの分類の一つです。

古代イタリア・ローマの碑文に用いられていた書体を起源に持つことからローマン体とも呼ばれます。

セリフ体は、文字の端にセリフ(serif)と呼ばれる装飾がついていることが特徴です。

セリフとは

セリフ(serif)とは、文字のストロークの端にある小さな飾りのことです。

セリフ体はセリフがありますが、この後ご紹介するサンセリフ体にはこのセリフがありません。

セリフ体の印象と使われる場所

セリフ体は、伝統的で上品な印象を与えます。

可読性が高いので、長い文章に使われることが多いです。

セリフの種類

セリフ体の中でも、セリフの見た目から、更に3つの種類に分けることができます。

◯ ブランケットセリフ

◯ ヘアラインセリフ

◯ スラブセリフ

ブランケットセリフ

ブランケットセリフ(Bracketed Serif)は、セリフ部分の造形が三角形(ブラケット)になっている、最もオーソドックスなセリフ体です。

セリフのつなぎ目部分がゆったりとした曲線で描かれています。

ブランケットセリフのフォント

Garamond (ギャラモン)

Palatino (パラティーノ)

Caslon (キャスロン)

ヘアラインセリフ

ヘアラインセリフ(Hairline Serif)は、セリフ部分の造形が細い直線(ヘアライン)になっているセリフ体です。

装飾が目立ちすぎず、モダンな印象を与えます。

ヘアラインセリフのフォント

Bodoni (ボドニ)

Didot(ディドー)

スラブセリフ

スラブセリフ(Slab Serif)は、文字本体のストロークと同等の太さのセリフをもつ直線的なセリフ体です。

視認性が高いです。

ヘアラインセリフのフォント

Egyptienne (エジプシャン)

Clarendon (クラレンドン)

Henderson Slab (ヘンダーソン スラブ)

サンセリフ書体とは

サンセリフ書体(Sans-serif typeface)とは、欧文フォントの分類の一つです。

文字の端に「セリフ(serif)」と呼ばれる装飾がついていないことが特徴です。

サンセリフ体は、別名グロテスク書体(Grotesque typeface)とも呼ばれます。

“sans”はフランス語で「〜のない」の意味。つまり、サンセリフ書体(Sans-serif typeface)は、セリフがsans(ない)書体のことだと名前からも読み取れます。

19世紀ごろ、新聞やポスターの見出しに使用する為に登場したとされています。

なぜグロテスク?

サンセリフ書体の別名はグロテスク書体(Grotesque typeface)です。

「グロテスク(Grotesque)」は、気味が悪い、奇怪、異様、などの意味であまり良い印象はありません。ではなぜそんな名前で呼ばれるようになったのか、諸説あります。

① ロンドンでファンストリート活字鋳造所を営んでいたウィリアム・ソローグッド(WilliamThorowgood)が1834年に発表した「Seven-line Pica Grotesque(セブン ライン ピカ グロテスク)」という書体から、サンセリフ体の呼び名が「Grotesque」として受け継がれていったという説。

② 従来、「セリフがある書体」が普通だったのに、急にセリフのない書体が出てきた為、世間が気持ち悪がって「Grotesque」と呼ばれるようになった説。

どちらが本当の名前の由来なのかは分かりませんが、ウィリアム・ソローグッドが発表した書体の「Seven-line Pica Grotesque(セブン ライン ピカ グロテスク)」が由来だとしても、名前に「Grotesque」を付けた理由は、従来の書体と全くちがう、セリフがない「異様」な書体としてなのではないか?と個人的に考えています。

サンセリフ体の印象と使われる場所

サンセリフ体は、真面目、誠実、安定などの印象を与えます。

セリフ体と比べると、長文にしたときの可読性は劣りますが、遠くから見たときの視認性はサンセリフ体の方が優れています。

その為、ポスターや看板、見出しなどの視認性が必要な場所や、企業のロゴデザインに使用されることが多いです。

サンセリフ体の種類

サンセリフ体の中でも、更に4つの種類に分類分けすることが出来ます。

◯ グロテスク・サンセリフ

◯ リアリスト・サンセリフ

◯ ヒューマニスト・サンセリフ

◯ ジオメトリック・サンセリフ

グロテスク・サンセリフ

グロテスク・サンセリフ(Grotesque Sans-Serif)は、サンセリフ体が生まれた19世紀〜20世紀初頭のデザインです。直線的で武骨な印象を受けます。

グロテスク・サンセリフのフォント

FranklinGothic (フランクリンゴシック)

Akzidenz-Grotesk (アクチデンツ グロテスク)

DIN (ディン)

リアリスト・サンセリフ

リアリスト・サンセリフ(Realist Sans-Serif)は、20世紀半ばにグロテスク体をもとに製作されました。ネオ・グロテスク体(Neo-grotesque Sans-Serif)あるいはトランジショナル体(Transitional Sans-Serif)とも呼ばれます。

グロテスク体を更に洗練させたような印象を受けます。

リアリスト・サンセリフのフォント

Helvetica (ヘルベチカ)

Univers (ユニバース)

Arial (エイリアル)

ヒューマニスト・サンセリフ

ヒューマニスト・サンセリフ(Humanist Sans-Serif)は、20世紀に入り製作されました。

ローマン体の骨格を残したデザインで、リアリスト体よりも曲線が強調されています。

女性らしさや温かい印象を受けます。

ヒューマニスト・サンセリフのフォント

Gill Sans (ギル・サン)

Optima (オプティマ)

Frutiger (フルティガー)

ジオメトリック・サンセリフ

ジオメトリック・サンセリフ(Geometric Sans-Serif)は、1920年代のドイツで作られ始めました。直線や円弧など、幾何学的な字形で骨格が形成されているのが特徴です。

サンセリフ体の4つの区分の中で一番クリエイティブなデザインです。

ジオメトリック・サンセリフのフォント

Futura (フーツラ)

Avenir (アベニール)

ITC Avant Garde (アヴァンギャルド)

スクリプト書体とは

スクリプト書体(Script typeface)とは、欧文フォントの分類の一つです。

手書きで描かれた文字をベースに作られた書体をスクリプト体と呼びます。

同じスクリプト体も、規則正しいフォーマル・スクリプト(Formal Script)と、自由なカジュアル・スクリプト(Casual Script)に分類されます。

スクリプト体は、日本語フォントでは、連綿体(れんめんたい)と同じ位置付け。

連綿体は、日本語の手書き書体。

スクリプト書体の分類

フォーマル・スクリプト

フォーマル・スクリプト(Formal Script)は、筆記体と非常に似ています。

17世紀および18世紀の書体の達人の文字の形を真似ており、羽根ペンもしくは金属ペンのペン先によって描かれているものがベースになっています。

高級感が出るので、レストランや結婚式の招待状などで使用されます。

フォーマル・スクリプトのフォント

Kuenstler Script(キュンストラー スクリプト)

P22 Allyson Pro(ピー22 アリソン プロ)

Snell Roundhand(スネル・ラウンドハンド)

フォーマル・スクリプトの使われる場所

レストランのメニュー

結婚式の招待状

パッケージ

カジュアル・スクリプト

カジュアル・スクリプト(Casual Script)は、フォーマルな印象とは裏腹に、自由で活発、カジュアルな印象を受けます。

20世紀初旬から様々な広告媒体で使われるようになりました。

カジュアル・スクリプトのフォント

Brush Script(ブラッシュ・スクリプト)

Pacifico(パシフィコ)

Voltage(ボルテージ)

カジュアル・スクリプトの使われる場所

見出し

ロゴ

広告

デコラティブ書体とは

デコラティブ書体(Decorative typeface)とは、欧文フォントの分類の一つです。

デコラティブ書体は、他に、ディスプレイ書体(Display typeface)と呼ばれたりします。

デコラティブ書体の使われる場所

デコラティブ書体は、装飾的な要素が強く、個性を強く打ち出すことが出来ます。その為、ポスターのタイトルや看板などに使用されることが多いです。

デコラティブ書体の例

Fairwater Deco Serif(フェアウォーター デコ セリフ)

HWT Mardell(エイチダブルティー マーデル)

Droog Heavy(ドルーグ ヘビー)

まとめ

今回は欧文フォントの4つの大枠であるセリフ書体、サンセリフ書体、スクリプト書体、デコラティブ書体(ディスプレイ書体)について解説しました!

この4つだけでも覚えておくと、よりデザインを作るのが楽しくなると思います!是非参考にして頂けたら嬉しいです!

こばやし
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