欧文フォントは、セリフ、サンセリフ、スクリプト、デコラティブの4つの大枠に分けることが出来ます。今回はその一つであるサンセリフ書体について解説していきます!
サンセリフ書体とは
サンセリフ書体(Sans-serif typeface)とは、欧文フォントの分類の一つです。
文字の端に「セリフ(serif)」と呼ばれる装飾がついていないことが特徴です。
サンセリフ体は、別名「グロテスク書体(Grotesque typeface)」とも呼ばれます。
“sans”はフランス語で「〜のない」の意味。つまり、サンセリフ書体(Sans-serif typeface)は、セリフがsans(ない)書体のことだと名前からも読み取れます。
反対に、文字の端にセリフがある書体をセリフ書体(Serif typeface)と呼びます。
19世紀ごろ、新聞やポスターの見出しに使用する為に登場したとされています。
なぜグロテスク?
サンセリフ書体の別名はグロテスク書体(Grotesque typeface)です。
「グロテスク(Grotesque)」は、気味が悪い、奇怪、異様、などの意味であまり良い印象はありません。ではなぜそんな名前で呼ばれるようになったのか、諸説あります。
① ロンドンでファンストリート活字鋳造所を営んでいたウィリアム・ソローグッド(WilliamThorowgood)が1834年に発表した「Seven-line Pica Grotesque(セブン ライン ピカ グロテスク)」という書体から、サンセリフ体の呼び名が「Grotesque」と受け継がれていったという説。
② 従来、「セリフがある書体」が何世紀にも渡り普通だったのに、急にセリフのない書体が出てきた為、気持ち悪がって「Grotesque」と呼ばれるようになった説。
どちらが本当の名前の由来なのかは分かりませんが、ウィリアム・ソローグッドが発表した書体の「Seven-line Pica Grotesque(セブン ライン ピカ グロテスク)」が由来だとしても、名前に「Grotesque」を付けた理由は、従来の書体と全くちがう、セリフがない「異様」な書体としてなのではないか?と個人的に思っています。
サンセリフ体の印象と使われる場所
サンセリフ体は、真面目、誠実、安定などの印象を与えます。
セリフ体と比べると、長文にしたときの可読性は劣りますが、遠くから見たときの視認性はサンセリフ体の方が優れています。
その為、ポスターや看板、見出しなどの視認性が必要な場所や、企業のロゴデザインに使用されることが多いです。
サンセリフ体の種類
サンセリフ体の中でも、更に4つの種類に分類分けすることが出来ます。
◯ グロテスク・サンセリフ
◯ リアリスト・サンセリフ
◯ ヒューマニスト・サンセリフ
◯ ジオメトリック・サンセリフ
グロテスク・サンセリフ
グロテスク・サンセリフ(Grotesque Sans-Serif)は、サンセリフ体が生まれた19世紀〜20世紀初頭のデザインです。直線的で武骨な印象を受けます。
グロテスク・サンセリフのフォント
FranklinGothic (フランクリンゴシック)
Akzidenz-Grotesk (アクチデンツ グロテスク)
DIN (ディン)
リアリスト・サンセリフ
リアリスト・サンセリフ(Realist Sans-Serif)は、20世紀半ばにグロテスク体をもとに製作されました。ネオ・グロテスク体(Neo-grotesque Sans-Serif)あるいはトランジショナル体(Transitional Sans-Serif)とも呼ばれます。
グロテスク体を更に洗練させたような印象を受けます。
リアリスト・サンセリフのフォント
Helvetica (ヘルベチカ)
Univers (ユニバース)
Arial (エイリアル)
ヒューマニスト・サンセリフ
ヒューマニスト・サンセリフ(Humanist Sans-Serif)は、20世紀に入り製作されました。
ローマン体の骨格を残したデザインで、リアリスト体よりも曲線が強調されています。
女性らしさや温かい印象を受けます。
ヒューマニスト・サンセリフのフォント
Gill Sans (ギル・サン)
Optima (オプティマ)
Frutiger (フルティガー)
ジオメトリック・サンセリフ
ジオメトリック・サンセリフ(Geometric Sans-Serif)は、1920年代のドイツで作られ始めました。直線や円弧など、幾何学的な字形で骨格が形成されているのが特徴です。
サンセリフ体の4つの区分の中で一番クリエイティブなデザインです。
ジオメトリック・サンセリフのフォント
Futura (フーツラ)
Avenir (アベニール)
ITC Avant Garde (アヴァンギャルド)
まとめ
今回は、サンセリフ体について解説しました!
セリフ体同様、非常に見かける場面が多い書体ですが、歴史や区分を知ると、更に楽しさや面白さが膨らみます。
前回は、セリフ体についてもご紹介しましたので、是非そちらもご覧下さい。
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